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CX-60と暮らす|納車1年で課題解消。外観・内装・走りの全てが魅力的な車。

三浦雄介ライフスタイルブロガー

MAZDA CX-60が納車されて1年が経ちました。本日時点の走行距離は10,699km、これだけ乗ればオーナーとしてこの車の素性がしっかりと分かってきます。

3.3L直列6気筒ディーゼルハイブリッドという近年稀に見るスペックで、車好きなら誰もが魅力に感じてしまうほどのポテンシャルの高さがありますね。未来の車は今よりも電動化比率が高まる可能性が高いから、こんなの今しか乗れないかもしれないと思って購入しました。

納車当初はそのポテンシャルを十分に活かしきれていない乗り心地が課題だったけれども、メーカーの継続的なアップデートによって、今ではきれいさっぱり解消され、もともとあったポテンシャルにさらに磨きがかかり、めちゃいい車に化けてくれました。

まだ改善してほしいポイントもないわけではないけれど、ひとまず外観・内装・走りの全てにおいて所有欲を満たすことのできる車となったというわけ。

購入グレードは “XD-HYBRID Premium Modern”

僕の購入グレードは、3.3L直列6気筒ディーゼルエンジンにマイルドハイブリッドシステムを組み合わせた “XD-HYBRID” というパワートレインのうち、最上級の “Premium Modern” というグレードです。

そのため、この記事で書く内容は全てこのグレードを所有した感想です。最初にここだけ注意事項ということで。

ちなみに、オプションや諸費用を含めた乗り出し価格は6,016,177円と、600万円超えの高級車となりました。今は価格改定でさらに20万円ほど値上げされています。

課題に感じていた部分が解消して一気に化けた

納車時からの課題は、そのポテンシャルを十分に活かしきれていない乗り心地。いい部分を相殺してしまうような問題がありました。

個人的にずっと言ってきたのはトランスミッションで、変速ショックが大きいこと、再加速時にギクシャクすること、走行中のエンジン停止からの再始動が洗練されていないこと、このような部分に課題を感じていました。

過去形にしたのはもう解決しているからで、トランスミッションの制御ソフトウェアの度重なるアップデートのおかげで、気になる部分はなくなりました。めちゃ滑らかになって、今では小気味よく変速されていくのがとても気持ちがいいです。(強めの変速ショックには稀に遭遇するけれど、3か月に1回とかその程度なので気になりません)

そして、これは申し出たオーナーに対してだけですが、リアショックアブソーバーとスタビライザーを対策品に交換してもらいました。

交換後1,000kmくらい乗りましたが、これまでとは明らかに違う乗り心地。気になっていた一般道での段差は気にならなくなり、もともとよかった高速道路ではもっとよくなりました。最高かよ。

しかもこれらのアップデート、これから生産する新車だけでなく、既存オーナーに対しても全て無償で適用してくれているのがありがたいところ。リコール対応となるものだけでなく、サービスキャンペーンやその他の施策も全て無償対応。

もしかすると、当初からオーナーのフィードバックをもとにブラッシュアップする前提で発売したのかもしれませんが、自分の愛車に課題を感じていたオーナーからするととてもありがたい対応だし、自分たちの声がメーカーに届いて改善されていく過程を見るのも楽しいよね。

“Be a driver” を体現する心地よい運転フィール

CX-60はマツダが掲げる “Be a driver” というスローガンを真っ直ぐに体現しているように思います。つまり、「走る」「曲がる」「止まる」の全てを心地よく、信頼性高く、そして楽しく、じっくりと味わうことができるのです。

停止状態からアクセルを踏み込むと、エンジンがうなりを上げながら、すーっと滑らかに加速します。その加速感には雑味がなく、モーターだけで加速しているのかと錯覚してしまうほど心地がよい。

巡航速度に乗ったあとも速度コントロールしやすい。バッテリー容量が十分なときはアクセルオフでエンジンが止まりモーター走行に切り替わりますが、それもかなり滑らかになりました。当初はここにも課題を感じていたから、アップデートによってパワートレインの制御精度が上がりました。

そして、ステアリングを切ると面白いくらいに曲がっていきます。遠心力で体が外側に揺さぶられる感覚も最小限で、水平を保ったまま進行方向だけが変わっていくような不思議な印象を持ちます。まるで物理法則に逆らうようで納車当初は違和感がありましたが、慣れた今となっては心地のよい高級車のような演出に感じています。

また、先日首都圏にも大雪が降って積もりましたが、そのときも雪道に乗り出して運転してみました(もちろんスタッドレスを履いています)。慎重に慎重に運転していましたが、そんな必要ないほどに安定していて、AWDの信頼性の高さを実感したところです。

CX-60 XD-HYBRIDには「ノーマル」「スポーツ」「オフロード」という3つの走行モードがありますが、雪道ではオフロードモードにするとより安定します。

——と、このように、車としての基本性能がとても高いところにあり、あらゆる方面に対して “Be a driver” の精神を感じることができます。その結果、アクセルのひと踏み、ステアリングのひと回し、その全てが楽しい。

何度も噛み締めるかっこいいエクステリア

そして言わずもがな、かっこいいエクステリアも見るたびにそのよさを噛み締めています。納車から1年経った今でも、外出先の駐車場に止まったCX-60を見て「いい車だな」と呟いてしまい、妻に呆れられるほどです。

まあ正直、発表当初はフロントのデザインに違和感があったのですが、実物を見てその迫力を目にするほど、そんなものは吹っ飛びました。実物を見るとフロントだけに着目することは皆無で、車全体としてのプロポーションのよさにすーっと引き込まれていきます。これはマジです。

とはいえ、いちばん好きなのは斜め後ろからの見た目ですね。

横長のテールランプが演出するワイド感をはじめとして(そもそも横幅1,890mmなのでワイドだけど)、ボディサイドの抑揚がリアフェンダーの盛り上がり部分に集束する感じもいい。そして、SUVなのに樹脂部分が最小限なのも高級感があっていいです。

また、エンジン縦置きでフロントタイヤが前に出されたことによって、プレミアムレングスが生まれました。

これまでのマツダSUVは前のめりのデザインでしたが、そのエッセンスも残しつつ、CX-60はどっしりと後ろに構える伸びやかさを手に入れました。

それを象徴する “INLINE 6” の加飾もかっこいい。

乗るたびに魅せられるインテリア

高級感がありつつ、優しい雰囲気に溢れたPremium Modernのインテリアには乗るたびに何度も心を打たれてしまい、所有欲が日に日に高まっています。

白いナッパレザーのシート、メープルウッドを贅沢に使用したセンターコンソールやドアパネル、アクセントとなる高品質なクロームメッキ、そして極めつけはかけ縫いが施された布素材のダッシュボード。

サステナビリティが叫ばれる現代でありつつも、光の当たり具合で表情を出したいからCX-60では自然素材にこだわっているとどこかで聞いたことがありますが、その効果はあらゆる場面で感じることができます。

例えば、こちらの写真は夕暮れの中禅寺湖で撮ったものですが、布素材のダッシュボードの質感、しっかりと陰影が出ていて最高ですね。

一方、光がしっかり当たるような明るい環境であれば、ギラギラと飛び込んでくるような白に発色します。生地の中に光を反射する糸が織り込まれているそうです。

高級車としての機能も充実

乗り出し600万円にもなる高級車ですが、もちろんそれ相応の装備も充実しています。ここで全部は書き切れないので箇条書きで。

  • Euro NCAPで5スターを獲得するほどの安全性の高さ
  • 運転支援で高速道路での移動も楽ちん
  • ドライバーが意識を失った場合も安全な場所に自動停止
  • 12.3インチのセンターディスプレイはとても見やすい
  • iPhoneをワイヤレスで接続してCarPlayを利用できる(稀に接続が切れるけどiPhone側の問題かも)
  • フル液晶ディスプレイなスピードメーターを搭載
  • ヘッドアップディスプレイにはCarPlayの経路案内も表示される
  • アダプティブハイビームも当然のごとく搭載
  • 顔認証でドライビングポジションを自動調整(検出精度も問題なし)
  • 直距離ドライブでも気持ちのいいパノラマサンルーフ
  • リアシートにもシートヒーターあり
  • リアシートは4:2:4の分割可倒で、ラゲッジから操作して倒すことができる

要改善ポイントもあり

ここまでいいことばかり並べてきましたが、改善してほしいポイントもいくつかあります。

ビューモニターの仕様が古い

ひとつめは360度ビューモニター。

死角を見えるようにするという目的から逆算すると機能として不足はないのですが、この価格帯だったらもう少し高機能だったら嬉しいかな。4つのカメラの映像をただ表示しているだけだから境界に線が入っているし、シースルービューも車体の下は透けません。

最近の高級車だったら車体を3D表示して斜め上からの映像を出したりとか、車体の下の映像も出る車もあるから、このままだとちょっと物足りないです。5年前ならこれでよかったかもしれないけれどね。

純正デジタルインナーミラーの設定がない

最上級グレードであってもデジタルインナーミラーの設定がありません。オプションにもなし。

ミラー自体はフレームレスでかっこいいから不満はないんですけどね。それでもデジタルインナーミラーを使いたい人はいるはずで、そういうときは社外品を付けるしかない状況にあります。

北米で販売しているCX-90には設定があるから、できないことはないはずです。せめてオプションで選択できるようにしてほしい。

CX-60、いい車だよ

度重なるソフトウェアアップデートや部品交換でやっと足枷が外れて、もともと持っていたポテンシャルを十分に発揮してくれるようになりました。これが熟成というやつか。

何度でも言うけれども、このようなアップデートを既存オーナーに対しても無償で対応してくれているのはすごいと思います。

ブランニューで出てきた車に不具合が多いのは仕方がない。だからこそ、売ったら売りっぱなしじゃなくて継続的にサポートしてくれる姿勢は信頼できるし、実際に問題も改善しているわけで、オーナーとして不満はありません。

ただ、登場当初の期待値に対する不具合の多さがリセールバリューに響いているのは否めません。たぶん今売却してもローンの残債以下でしか買い取ってもらえないから、身動きが取りづらいのは事実。

このあたりは、メーカーが継続的に問題に向き合い対策しながら信頼回復に努めていただくしかありません。その一助になればと思い、微力ながらオーナーとしての声を発信している次第です。

もう一度繰り返しますが、今のCX-60は外観・内装・走りの全てにおいて所有欲を満たすことのできる車となっています。発売当初の不具合の多い車とは全く別物に化けました。これを再度強調して、この記事を締めくくりたいと思います。

ライフスタイルブロガー

ライフスタイルメディア〈starnote*〉を運営。1988年生まれのミレニアル世代です。薬学の博士号を持っており、仕事をしながら趣味でブログを書いています。

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