【北安曇郡池田町】広津地区の獅子神楽を地元の若者が継承
長野県北安曇郡池田町の街中から、車を10分ほど山手に走らせると、広津と呼ばれる集落があります。ちょうどこの時期は広津から眺める雲海が見ごろとなり、写真を撮りに訪れる方も多い広津地区。そんな山間に位置する広津で、獅子舞の練習をされていると聞き訪れました。
広津地区の獅子神楽の歴史
広津の獅子舞は、2020年に40年ぶりにお囃子と獅子舞が復活しました。今年2023年で3回目の奉納です。
毎年、スポーツの日前後の第2日曜と月曜に祭が開催されます。当初は、日中の本祭だけでしたが、去年から前夜の「宵祭」と「本祭」の2回、奉納されています。今年2023年は、10月8日(日)に宵祭、10月9日(月・祝日)に本祭が広津地区の楡室(にれむろ)神社で開催されました。
40年ぶりに獅子神楽が復活するまでの経緯
広津地区のお囃子と獅子神楽(獅子舞)の復活には、広津出身の荻窪さんと、池田町育ちの宮田さんが大きく携わられています。復活までの経緯を、宮田さんにお聞きしました。
宮田さんは、2018年、大学生のときに広津地区をフィールドとする「広津の杜」に所属し、「池田町の限界集落」について考える活動をスタート。今もOBとして活動を続けられています。2019年に、大学の卒業論文で広津地区の獅子舞について現状を分析してまとめ、保存会を作ったそうです。
お囃子と獅子舞を復活させるまでに、まずはお囃子の楽譜の作成からされたというから驚きです。和紙の巻物にかかれていた「口唄歌(くちしょうが)」と、古いカセットテープから譜面起こしを始めたのが2020年7月の終わりごろ。8月には譜面を完成させて練習を始め、約2ヶ月間の練習を経て、10月の本番を迎えました。すごいスピード感です…。
楽譜の完成には、柳澤さんの後押しがありました。柳澤さんは、松本市三才山出身で、中学生で三才山の神楽を始め、高校生のときに神楽のリーダーを担いました。そんな経験豊富な柳澤さんの、楽譜のチェックや笛の選定などの全面的なサポートを得て、お囃子と獅子舞が復活したのです。
柳澤さんが、貴重な獅子の裏側を見せてくださいました。おおよそ大正時代から受け継がれているこちらの獅子。少しでも軽くなるように薄く彫られた内側には、当時の職人の腕を感じます。
獅子を舞う荻窪さんと柳澤さん。本番では、女性が獅子の前を、荻窪さんが後ろを担います。
ストーブをつけるほどの寒い夜、中学生、高校生を含む地元の方、宮田さんを含む広津の杜のOBやOGの方、そして柳澤さんとで和気あいあいと練習されていました。寒さを忘れる熱気と情熱を感じる空間でした。
筆者は、本番は足を運べなかったのですが、Instagramでの配信があり、時代の恩恵にあずかりました。
YouTubeにも投稿されていますので、ぜひチェックしてみてください!