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【埼玉県鳩山町】熱中症対策と緊急時の心構えは万全ですか?鳩山町で働く救急救命士からアドバイス

寺西あゆみライター(鳩山町・東松山市)

「暑い日、家に帰ったらエアコンの効いた部屋に家族が寝ていた。夕食の時間になっても寝ているので声をかけると、実は熱中症でぐったりしていた・・・」という事例が、この暑い夏、日本のどこかで毎日のように起きているといいます。

6月30日に39.9度と、その日の全国の最高気温を叩き出した鳩山町。ご存知の通り、気象庁が日毎に発表する全国観測地の最高気温ランキング上位の常連です。そんな暑い町に住む私たちの、熱中症対策やもしもの時の心構えは充分なのでしょうか?西入間広域消防組合・鳩山分署の皆さんにお話をお伺いしました。

今年の熱中症による搬送件数

今年に入ってから、西入間広域消防組合管内(毛呂山町・鳩山町・越生町)で熱中症での搬送は7月6日の時点で28件、うち鳩山町は10件。6月中旬に一気に気温が上昇してから、それまでゼロだった熱中症の搬送が急増。発症場所も様々で、年代も10代〜80代と幅広く、屋外で作業されるかたやご高齢のかただけが気をつければいいというわけでもなさそうです。

基本の熱中症対策

基本の熱中症対策といえば、こまめな水分補給・エアコンや扇風機の有効利用・風通しの良い服装など。特に今年問題視されているのが、エアコンの利用だといいます。今年は電力ひっ迫注意報が発出され、節電のニュースが流れるテレビを見ながらエアコンをつけるのも気が引けると、我慢してしまうかたが多いそうです。

「救急要請があり家へ行くと、エアコンを使用していないかたがとても多いです。特にご高齢のかたがエアコンの使用を我慢することが多い傾向。命に関わることもあるので、無理せずにエアコンを使いましょう。風通しが悪く空気がこもるのもよくないので、扇風機も併用するといいです。また、エアコンをつけているからといって安心は禁物。室内でもこまめな水分補給を」

農作業中の注意点と対策

鳩山町は農作業をされるかたも多く、畑などで倒れているところを車で通りかかった人に発見されたり、時間になっても農作業から家に戻らないと家族が探しに行って発見し、救急要請されることもあるといいます。

「30度を超えるような日は屋外での作業は最少限にとどめ、早朝や夕方などの時間を有効活用していただきたいです。気温を見てもわかる通り、昔と比べても今は暑い。昔はやっていたからと無理はしないでほしい」とのこと。集中して作業をしているとつい没頭してしまい、水分を取るのを忘れがち。一区切りついて急に立ち上がった時に、自分の体調が悪いことに気づくということも。

「よく言われることですが喉が乾いてからでは遅いです。農作業にもスポーツドリンクや経口補水液などの水分を持参し、意識してこまめに水分をとってください」

西入間広域消防組合では、6月21日から熱中症注意喚起広報(消防車で町内を巡回)を行っています。そういった呼びかけも活用しながら、水分をとったり自分の体調を確認する習慣をつけてみてはいかがでしょうか。

消防士さんの熱中症対策は?

最新の防火衣は保冷剤を背中や腋の下に取り付ける部分があり、熱中症対策が施されているそうです。私たちも、どうしても炎天下での作業が必要な場合などはタオルと保冷剤や便利グッズなどでうまく代用してマネしたいですね。

現在は新型コロナウイルス感染症対策のため、感染防止衣の他にマスク、ゴーグルを着装して活動しているそうです。想像するだけで暑そうです。

「暑いなんて、もちろん我々は言っていられない。熱中症対策はやっぱり、3食きちんと食べ、こまめな水分補給と、しっかり睡眠をとって体力をつけること。そしてストレスをためずに心身ともに健康でいることが何より一番大事です」

もし周囲の人に熱中症の疑いがあったら

対策をしているつもりでも、もし周囲の人に熱中症の疑いがあった場合の応急処置は私たちに何ができるのでしょうか。

「意識があれば、涼しい場所に移動させ、首、脇の下、太ももの付け根を濡れたタオルや保冷剤などで冷やしましょう。皮膚に霧吹きをし、うちわであおいで身体を冷やすのも有効です」

救急車を呼ぶ基準は?

「特に基準はありません、判断に迷う際は救急相談ダイヤルを活用していただくか119番通報してください」とのこと。しかし、救急車を呼ぶのは躊躇してしまうというかたも多いのではないでしょうか?近所のかたに「熱中症ごときで救急車を呼んだのか」などと後ろ指を指されないだろうかと・・・。

「近年、救急車の不適正利用が話題になって躊躇されるかたが多いのもわかります。でも、救急車を呼ばないで重症化するケースもありますので、判断に迷ったら119番通報してください」

救急相談ダイヤル

そうは言っていただいても、119番するなんて勇気がいるし気が引ける。私もそう感じる一人です。

「そういった声が高まったこともあり、西入間広域消防組合では毛呂山町、鳩山町、越生町にお住まいの皆さんが救急要請をすべきか否か判断に悩んだ時などのために、県内の消防本部で初めて救急相談ダイヤルを設けました」

救急相談ダイヤルとは、救急車要請の判断や緊急時の対処方法など、24時間365日、救急救命士や救急隊資格者が対応してくださると言うもの。熱中症以外にも、緊急時には、ぜひ有効活用したいですね。

※救急相談ダイヤルについて(外部リンク・西入間広域消防組合公式サイト「町民の安心と安全のため救急相談ダイヤル設置について」)

取材に伺った日は鳩山町で40度を超える気温が記録された日でしたが、職員の皆さんは元気でイキイキとして爽やか。誰一人として「暑い」なんて言っていなかったのが印象的で、とても頼もしいと感じました。

とは言え、職員の皆さんのお世話にならずに健康に過ごすのが一番。一人一人が基本の熱中症対策をしっかりとし、周囲にも声を掛け合いながら、一緒にこの夏も乗り越えましょう!

取材協力:西入間広域消防組合・鳩山分署

西入間広域消防組合
公式サイト (外部リンク)
救急相談ダイヤル専用電話:049-295-9987(毛呂山町、鳩山町、越生町にお住まいの方) 
※緊急時の専用ダイヤルです。お掛け間違いのないようご注意ください

ライター(鳩山町・東松山市)

埼玉県鳩山町で生まれ育ち、東松山市で青春時代を過ごした生粋の埼玉県人。「ぶっついた」が方言だと最近まで知らなかった37歳です。埼玉県人にも県外にお住まいの方にも、埼玉県の魅力を伝えたいと思いライターのお仕事を始めました。「意外に埼玉もいいところじゃん!」とみなさんが改めて埼玉愛に気付いてしまうような記事を書けたらいいなと思っています。

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