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【藤沢市】「2人が幸せになれて本当に良かった」。伝説の「愛の物語」ゆかりのお寺『花應院』

ころんころライター(藤沢市)

【プライスレス藤沢】
~藤沢の魅力を再発見~

藤沢市内で見つけたプライスレスな情報シリーズ。52カ所目は、藤沢市西俣野にある曹洞宗の寺院『花應院(かおういん)』スーパー歌舞伎「オグリ」の演目(照手姫)にも登場する伝説にゆかりあるお寺です。

慶長9年(1604年)、開山は国境、開基は祖桂として建立された『花應院』。本尊は江戸時代に作られた聖観音菩薩です。市指定重要文化財に指定された「石像閻魔大王像」(近くの閻魔堂火災の際、村の青年が助け出したとされています)、そして小栗判官と照手姫縁起の寺として有名ですね。

小栗判官と照手姫の伝説については、藤沢市教育委員会 藤沢市教育文化センターの公式ホームページで以下のように解説されています。

『昔、常陸(ひたち)国真壁郡の小栗(現茨城県真壁郡協和町)に、小栗満重という大名が住んでいた。応永(1394から1427)の頃、当時関東管領として関東を治めていた足利持氏に謀反の疑いをかけられ、鎌倉より討手を向けられついに攻め落とされてしまった。満重は、わずかに10人の家来を連れて三河国(現愛知県)をさして落ちのびていった。その途中で相模国の郷士横山大膳の家人に誘われ、しばらく大膳の館にとどまった。とどまるうちに、満重は妓女の照手姫と親しくなり、夫婦になる約束をした。照手姫の父は、北面の武士(上皇や法皇の御所をまもる武士)であったが姫は早くから父母に死に別れ、訳あって大膳に仕えていた。横山は、実は旅人を殺し金品を奪う盗賊であった。満重たちが何も知らずに立ち寄ったので、いい獲物がかかったと喜んだが、10人の強そうな家来が一緒では手が出せなかった。その頃、横山の家には人から盗んだ人食い馬と言われる荒馬の「鬼鹿毛(おにかげ)」が飼われていた。横山は満重をこの馬に乗せ噛み殺させようとたくらんだ。しかし、満重は馬術の達人であったので、この荒馬をなんなく乗りこなし碁盤乗りなどの難しい馬術をやってのけた。この計画が失敗したので、横山は酒盛りを開き、毒入りの酒を勧めた。これを知らずに酒を飲んだ満重主従は悪だくみにかかり、命を落とした。横山は、満重の財宝を奪い取り、手下に言いつけて11人の屍(しかばね)を上野原に捨てさせた。その夜、藤沢の遊行寺では、大空(たいくう)上人の夢枕に閻魔大王が現われ、「上野原に11人の屍が捨てられていて、満重のみ蘇生させられるので、熊野の湯に入れてもとの体に治すように力を貸せ」というふしぎな夢を見た。夢のお告げにしたがって上人が上野原に行ってみると、11人の屍があった。お告げのとおり10人の家来は息たえていたが、満重だけはかすかに息があつた。上人は、家来達をほうむり、満重を寺に連れ帰った。上人は、夢のお告げにしたがい満重を熊野に送り温泉で体を治させることにした。上人に満重を車に乗せると胸に「この者は、熊野の湯に送る病人である。一歩でも車を引いてやるものは、千僧供養に勝る功徳を得よう」と書いた札を下げた。藤沢から紀州の熊野まで、大勢の人々が車を引いて送ってくれたおかげ満重は熊野に着き、熊野権現の霊験と温泉の効き目で元の体にもどった。照手姫は、満重が毒を盛られた後、世をはかなんで密かに横山の屋敷を抜け出したが、追手につかまり川に投げ込まれたが、日頃信心している観音菩薩のご利益で、おぼれることなく金沢六浦の漁師に救われた。しかし、漁師の女房は照手姫が美しいのをねたみ、松の木にしばりつけられて松葉でいぶされたりしていじめられ、最後には人買いに売りとばされた。体が元に戻った満重は、一族の住む三河に行き、力を借りて京都の幕府に訴えた。満重が生死の境からよみがえったのは稀有の仏徳であるとして、常陸の領地を与えられ判官の位をさずけられた。常陸に帰った満重は、兵をひきいて横山大膳を討つと、遊行寺に詣り、上人にお礼するとともに、亡くなった家来達の菩提をとむらった。照手姫は、美濃の青墓(現岐阜県大垣市)で下女として働いている時、満重に救い出され、二人はようやく夫婦になれた。満重が亡くなると弟の助重が領地を継ぎ、鎌倉に着た折に、遊行寺に参り、満重と家来の墓を建てた。照手姫も仏門にはいり、遊行寺内に草庵を営んだが、永享元年(1429)長生院を建てた。』以上が長生院につたわる伝説である。

一度は離れ離れになってしまう小栗判官と照手姫ですが、その後再会し、末永く幸せに暮らしたとされるお話。2019年のスーパー歌舞伎「オグリ」では、四代目・市川 猿之助さんが小栗判官役(藤原正清後)を、そして坂東新悟さんが照手姫役をつとめています。

境内へ続く「参道」
境内へ続く「参道」

「本堂」
「本堂」

お寺の方にお話をうかがうと、1月と8月には「地獄変相十王図」「小栗判官絵巻」の絵解き供養が行われるとのこと(御開帳)。参加すればより深く歴史を追求できそうですね。

「本堂」の右側には「水子地蔵」
「本堂」の右側には「水子地蔵」

「六地蔵」
「六地蔵」

小栗判官と照手姫縁起のお寺『花應院』。

『遊行寺塔頭長成院(小栗堂)』には小栗判官や照手姫のお墓が、また『花應院』からすぐ近くの横浜市戸塚区俣野町にある『ウィトリッヒの森』(かつては『鬼鹿毛山』と呼ばれていた場所)には、伝説に登場する人喰い馬「鬼鹿毛」が住んでいたという話も残されています。

少し春めいてきた今日この頃。小栗判官と照手姫の伝説を巡る散策に出かけてみませんか?『花應院』の向かい側には『飯田牧場』もありますよ。

4月頃には、駐車場付近に植えられた桜も開花
4月頃には、駐車場付近に植えられた桜も開花

基本情報
『花應院』
住所:藤沢市西俣野866

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ライター(藤沢市)

湘南エリアの複数メディアや紙面、昭文社「まっぷるトラベルガイド」などで、記事執筆&撮影を担当。取材スポットは1000ヶ所近く。そんな取材後記や、徒然なるままのゆるゆる日暮らしを、Instagramに綴っています。ほわっとあたたかくなる「神奈川県藤沢市」の情報をお届けできたら幸いです。※「毎週日曜の20時10分」に約1週間分の記事をまとめてお届けする「LINEでの配信」がスタートしました。ご登録いただくと藤沢市の話題(特に美味しいもの情報)に困りません。

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