【4月1日廃止】今や貴重な貨車駅舎 留萌本線 幌糠駅
国鉄末期、貨物列車の廃止や合理化で多くの貨車が不要となった。それらの貨車の多くは頑丈でまだまだ使用に耐えたことから、民間に払い下げられて倉庫などとして第二の人生を歩み始めた。一方、それらの貨車の中には「駅舎」として第二の人生を歩み始めたものが存在する。北海道や東北を中心に数多く設置された貨車駅舎がそれだ。留萌本線でも恵比島、幌糠、大和田、瀬越、礼受、舎熊の6駅に設置されている。しかし、老朽化や駅の廃止に伴い、現存するのはその半分、恵比島、幌糠、大和田の3駅のみだ。その3駅も4月1日で廃止となる。この記事ではその一つ、幌糠駅を紹介しよう。
幌糠駅は明治43(1910)年11月23日開業。かつては御料林(皇室が所有する山林)からの材木搬出で栄え、構内も広かったが、現在ではホームが一本あるだけだ。昭和61(1986)年11月1日には無人駅となり、その後貨車駅舎となっている。この貨車駅舎は、車掌車(貨物列車の最後尾に連結され、車掌が乗務していた車両)を改造したもので、貨車時代の面影を比較的残している。今では木の板が貼られている恵比島駅の駅舎も以前は同じ見た目だった。
室内も丸みを帯びた天井や窓などに貨車の面影が残っている。奥の扉は右がトイレ、左が物置だ。トイレはボットンで、手を洗うところもないため、なるべくなら使いたくない代物だ。匂いが強烈なので扉を開けるのはお勧めしない。
駅名はアイヌ語の「ポロ・ヌㇷ゚・カペッ(大きい・野の・川)」に由来する。「幌」も「糠」も北海道の地名や駅名ではよく目にする漢字だ。峠下駅との間にはかつて「東幌糠」という駅があったが、平成18(2006)年3月18日に廃止されている。
幌糠駅は4月1日の石狩沼田~留萌間廃止に伴い、112年余りの歴史に幕を下ろす。もちろん貨車駅舎も約37年に渡る役目を終える。廃止後の処置については公表されていないが、移動させやすい貨車駅舎の長所を生かして移設転用されるのか、それとも解体されてしまうのか、気になるところだ。