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【4月1日廃止】半分化された木造駅舎! 留萌本線 藤山駅

清水要鉄道ライター

北海道の地名・駅名には開拓に携わった人の名前が由来というものが多い。留萌本線 藤山駅もその一つである。駅開業にあたって用地を提供した農場主・藤山要吉(1851~1938)が駅名の由来だ。藤山は秋田出身の実業家で、小樽を拠点に海運・漁場経営・農場開墾・炭鉱経営・鉄鋼・金融など幅広い事業を手掛けた。

駅名標と駅舎
駅名標と駅舎

駅が設置されたのは藤山が経営する「藤山第一農場」の一角である。藤山はアイヌも住まない未開の地であった当地に、石川県や富山県から来た人たちを入植者として受け入れ、入植から3年は食糧を支給し、頻繁に足を運んで労をねぎらったと言われている。藤山はその人柄から入植者に慕われたそうで、駅名や地名にその名が残されているのは、彼らの藤山に対する感謝の証という意味合いもあるそうだ。

半分化された駅舎
半分化された駅舎

そんな藤山要吉の名を今に伝える藤山駅は明治43(1910)年11月23日開業。駅舎は戦前に建てられたと思われる古いものだが、昭和59(1984)年2月1日の無人化後に半分化されている。無人化で駅員がいなくなると当然、駅員のためのスペースは不要になるわけで、その部分を取り壊して、待合室部分だけを残したわけだ。雪がない季節なら、駅舎の取り壊した跡の基礎を見ることができる。

藤山駅遠景
藤山駅遠景

藤山要吉が開いた農場を北陸から来た人々が開墾しはじめてから約130年。藤山駅は4月1日で112年余りの歴史に幕を下ろす。廃止後の駅舎がどうなるのかは公表されていない。

石狩沼田駅真布駅恵比島駅峠下駅幌糠駅ー藤山駅ー大和田駅留萌駅

鉄道ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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