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【4月1日廃止】鰊と炭鉱で栄えた街のターミナル 留萌本線 留萌駅

清水要鉄道ライター

4月1日で廃止となる留萌本線 石狩沼田~留萌間の終着駅・留萌駅は留萌振興局の所在地・留萌市の代表駅だ。留萌市は古くより鰊漁で栄えたところで、明治以降は炭鉱の街としても栄えた。炭鉱からの石炭輸送に活躍したのが鉄道で、留萌駅は留萌本線以外に羽幌線・天塩炭砿鉄道・留萠鉄道が乗り入れる一大ターミナル駅だった。昭和42(1967)年11月15日より使用開始された駅舎も鉄筋コンクリート造二階建ての大きなものだ。

留萌駅 改札口
留萌駅 改札口

留萌駅は明治43(1910)年11月23日開業、当時は「留萠」という表記だった。留萌本線(当時は留萠線)はその後、増毛まで延伸している。前述のように最盛期には5つの路線が乗り入れていたが、炭鉱の閉山によって次々と廃止されていった。日本海沿いを走って宗谷本線の幌延駅とを結んでいた羽幌線はJR発足二日前の昭和62(1987)年3月30日に廃止、これによって留萌駅は留萌本線単独の駅となった。その留萌本線も留萌~増毛間が平成28(2016)年12月5日に部分廃止、留萌駅は終着駅となっている。

駅舎内のそば・うどん店
駅舎内のそば・うどん店

主要駅らしく広い待合室の片隅にはそば・うどん店が営業している。あいにく筆者は食べる機会に恵まれなかったが、「にしんそば」が名物だ。

留萌駅で折り返し発車を待つ列車
留萌駅で折り返し発車を待つ列車

留萌駅の一日平均乗車人員は令和3(2021)年度でわずか35.2人。市の玄関口とは思えない数字だが、これは通学や通院に使うには不便な留萌駅の立地も関係している。また、札幌へはバスの方が本数が多い上に運賃も安く、乗り換えもいらない。もはや留萌において鉄道は役目を終えてしまっているといっても過言ではない。留萌本線の廃止について留萌市は他の沿線市町よりも早く容認したが、これらの事情を踏まえての判断であろう。

留萌駅 ホーム
留萌駅 ホーム

廃止後、留萌市は留萌駅を解体して跡地を再開発する方針を示している。詳しいことはまだ不明だが、廃止後数年以内に駅舎は消えることだろう。ターミナル駅の面影を残す駅舎が見られるのもあとわずかだ。

石狩沼田駅真布駅恵比島駅峠下駅幌糠駅藤山駅大和田駅ー留萌駅

鉄道ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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