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「何かいる…」不自然に囲われた、朽ちた塀の中をのぞいてみると…(藤沢市)

ころんころライター(藤沢市)

【プライスレス藤沢】
~藤沢の魅力を再発見~

藤沢市内で見つけたプライスレスな情報シリーズ。60カ所目は藤沢市村菖蒲沢にある『百日咳の神様 慶蔵院様(けいそいんさま)』です。

「県道43号藤沢厚木線」の『BOOKOFF 藤沢用田店』の近くに、朽ちたコンクリートの塀で囲われた祠のようなものがあります。ドライブ中に初めて見たときは、同乗者が「塀の中に何かいる...!」と真顔で言うのでビビりました。汗

塀の中に入ってみると、大きなクチナシの木の手前に石仏?の姿が…。

ここは、喘息を患いながらもお酒がやめられず、生きながら神様になった『百日咳の神様 慶蔵院様(慶蔵坊)』が入定(にゅうじょう)したといわれる場所。

現在は蓮弁光背型の石仏が一基置かれています。

『百日咳の神様 慶蔵院様』については「藤沢市教育委員会 藤沢市教育文化センター」の公式ホームページで以下のように解説されています。

生きながら入定(にゅうじょう)して咳の神様になった坊さん〔打戻の慶蔵院(けいそいん)さま〕
御所見の打戻、榎戸1331番地に、称業山薬応院大法寺という浄土宗のお寺がある。昔、大法寺に慶蔵坊と名乗り、村人からはたいへん慕われたお坊さんが住職を勤めていた。この坊さんはお酒が大変好きであった。喘息(ぜんそく)を患っていたが、或る日激しい咳が出て止まらず苦しくて食べ物も喉を通らず、大好きなお酒ばかり飲んで過ごしていた。打戻は,穏やかな村であったが、この地に百日咳(子どもに多い伝染病で、気管支が炎症を起こし、発作的な特有な咳が長く続く病気)が流行しはじめ、赤子や幼児があちこちで倒れ、子どもを持つ母親達は途方にくれる有様であった。この様子を見た慶蔵坊は、『わしは年もとり、それに喘息持ちの身、そう長くはないだろう。この身を埋めて、悪霊を払ってやろうじゃないか。また、わしは喘息で苦しんだ、死んだら咳の神様になって咳に苦しむ人々を助けてやりたい。』と村人に申し出た。この申出が慶蔵坊のかたい信念であることを知った村人達は、三日三晩相談を重ねたあげく、北方の村境に土地を求めた。場所が決まると、寺からその場所までの道に敷き詰める菰(こも)を村人は丹精(たんせい)こめて織り上げた。村人は、慶蔵坊の入定を総出で見送り入った穴には節を抜いた竹が立てられ息抜きとした。竹筒を通して伝わる鐘の音と読経の声が聞こえる間は、和尚の遺言にしたがって竹筒から坊さんの大好きな酒を流しつづけた。このことがあってから、さすがの悪疫も下火になり喜んだ村人は、「慶蔵院様」と崇(あが)め、その地に石仏を建立した。昭和の初め頃までは、風邪や百日咳が流行すると、竹筒に入れたお酒を供えお参りする慶蔵院様と呼ばれる石仏人が絶えなかったと伝えられている。慶蔵院の入定した場所は、県道藤沢・厚木線の西菖蒲沢バス停の近くで、コンクリートブロックに囲まれた一画に、元禄4年12月の銘を持つ蓮弁光背型の石仏が一基さびしく置かれている。また、大法寺境内にも慶蔵坊和尚の石碑がある。入定とは、本来は禅定に入ることで悟りを開く意味であるが,日本では異なった意味に用いられ、禅定も山林修行を意味し、修行者の死を入定と呼んだ。これは特別な意味を持ち死後も永遠の生命をもって生きていると言う信仰を生んだ。入定信仰では、肉体もそのまま残ると信じられ、これを即身仏といった。入定によって肉体を残し、同時に永遠の生命をもって衆生済度しようとしたものである。県内でも、伊勢原には山岳修行者の入定塚と伝えられるものが残っている。(初出『ふじさわ教育』第128号)

胸元に手を当てる石仏
胸元に手を当てる石仏

自らの命を捧げ「咳の神様になって咳に苦しむ人々を助けてやりたい」とこの地に身を埋め仏となった『百日咳の神様 慶蔵院様(慶蔵坊)』。

『百日咳の神様 慶蔵院様(慶蔵坊)』の石碑があるという『称業山益應院大法寺(藤沢市打戻)』も訪ねてみましたが、門が閉ざされており中に入ることはできませんでした。また、近くの『藤沢市少年の森』には『百日咳の神様 慶蔵院様』にまつわる「慶蔵坊の竹筒くぐり」と名付けられた木製の大型遊具がありますよ。

ちょうど今、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなどに感染する方が増えていますよね。長引く咳や喘息でお悩みの方は、ぜひ一度『百日咳の神様 慶蔵院様』を訪れてみてください。そしてみなさま、これから厳しい暑さが続きますので、くれぐれもご自愛のほどお願い申し上げます!

基本情報
『百日咳の神様 慶蔵院様(けいそいんさま)』
住所:藤沢市菖蒲沢28
※駐車場は無いため、行かれる際は公共交通機関をご利用ください。
※記事内の写真は2023年4月撮影

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ライター(藤沢市)

湘南エリアの複数メディアや紙面、昭文社「まっぷるトラベルガイド」などで、記事執筆&撮影を担当。取材スポットは1000ヶ所近く。そんな取材後記や、徒然なるままのゆるゆる日暮らしを、Instagramに綴っています。ほわっとあたたかくなる「神奈川県藤沢市」の情報をお届けできたら幸いです。※「毎週日曜の20時10分」に約1週間分の記事をまとめてお届けする「LINEでの配信」がスタートしました。ご登録いただくと藤沢市の話題(特に美味しいもの情報)に困りません。

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