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銀線細工・フィリグリーを開運アイテムとして身につける人が続出!~SDGsに繋がる物語【神戸市中央区】

小坂裕子フリーランスMC/ライター/ワーママ(神戸市)

先日まで神戸大丸で行われていた「フィリグリー展」は、春の色と輝きで包まれた幸せのパワースポットのようでした。今日は展示会のレポートとともに、絶滅危惧の伝統工芸を絶やさぬようにと奮闘する女性の物語をご紹介します。

銀線細工 フィリグリー展

作品のモチーフに注目

蝶にも花にも妖精にも見える指輪
蝶にも花にも妖精にも見える指輪

会場では、繊細な羽を持つまるで天使か妖精のようなリングが出迎えてくれました。歴史あるフィリグリーは縁起物やお守りとして選ばれることも多いそうで、例えば、魚をくわえるイルカは「最大の幸運」という意味から「成功」の象徴。ウミガメや鳥は神の遣いとして「幸せを運ぶ」、ベビードラゴンは「一緒に成長しましょう」そのような意味やメッセージがあるので、身につけると何かパワーがもらえるような気がします。

下段左から:鳥・イルカ・ウミガメ
下段左から:鳥・イルカ・ウミガメ

ベビードラゴン
ベビードラゴン

全て手作りの一点ものでカタログはなく、お客様にとっては一期一会です。似合うかどうかも大切ですが、それ以上に「コレ」と感じたら、それは運命かもしれません。因みに取材2日後に再訪してみると、はじめに出迎えてくれたリングは、運命のお客様の元へと旅立った後でした。

 ホワイトデーのプレゼント選びをする男性も多数
ホワイトデーのプレゼント選びをする男性も多数

お花モチーフの作品
お花モチーフの作品

世界のフィリグリー

インドネシア:立体的で華やかなブローチ
インドネシア:立体的で華やかなブローチ

 秋田:小さくさりげないおしゃれを楽しめるピンズ
秋田:小さくさりげないおしゃれを楽しめるピンズ

マルタ:中世貴族たちの好んだ都会的なデザインのリング
マルタ:中世貴族たちの好んだ都会的なデザインのリング

マルタ:金線と銀線のハイブリッドデザイン
マルタ:金線と銀線のハイブリッドデザイン

今回のフィリグリージャパン(外部リンク)による展示会は、インドネシアの作品の他に、マルタや秋田の作品も並べられていました。その中でも秋田の銀線細工は銀100%の純銀にこだわって作られています。さらに秋田といえばお米で、米粒デザインのものを見つけました。お米は漢字の形から「末広がりに運が開ける」という意味があります。また、健康を願って米寿のお祝いにもいいですね。それぞれの国で違う歴史をたどったフィリグリーですが、ルーツは同じで、みんな想いは一緒です。平和への願いを込めて、3カ国の国旗がディスプレイされていました。

5千年の歴史を経たフィリグリーとともに平和を願う
5千年の歴史を経たフィリグリーとともに平和を願う

子どもたちの未来を拓く

取材中にも、フィリグリーに出会ったお客様が、その美しさや歴史に感動していました。それらを懸命に伝えていたのはフィリグリージャパン代表の松本佳子さん。松本さんとフィリグリーとの出会いは、まさに運命のようなできごとでした。

ある時「絶滅危惧の伝統工芸を助けて欲しい」と言われ、何かを感じて「何かしなくては」と、一切つてのないままインドネシアへ向かいました。しかし街で売られているフィリグリーは低品質なものばかり。ひたすら探し歩き、ようやく技術力のある職人がいる工房へ辿り着いたかと思えば、門前払いでした。それでもただひたすらに情熱を伝え続け、少しずつ彼らの“こころ”は開いていきました。

インドネシアでは、高い技術力を持つフィリグリー職人はほんのわずかで、後継者不足の問題も抱えています。さらに村の人々と関わるうちに、村は貧しく子どもたちが学べる環境にはない現実も見えてきました。松本さんは、会社設立にあたり「フェアトレードで賃金向上を図り、最終的には現地に学校を建て、後継者を育てよう」そう決めたそうです。そのために多くの人へ「フィリグリーの価値を伝えたい」と信念を持たれているように感じました。

また、後継者不足はインドネシアのフィリグリーに限ったことではなく、秋田の銀線細工においては、実際に活動している職人はわずか5名ほど。その他の伝統工芸や地場産業も、多くの課題を抱えています。そこで、それぞれの技術を守りながら、一緒に解決に向けて取り組もうと、コラボレーションにも積極的で「伝統工芸のプラットフォームになりたい」とおっしゃっていました。

神戸の地場産業(真珠加工)とコラボレーション
神戸の地場産業(真珠加工)とコラボレーション

姫路の地場産業(皮革)とコラボレーション
姫路の地場産業(皮革)とコラボレーション

沢山のフィリグリーを拝見して、私もその美しさの虜になりました。ファッションのまち神戸でもこれからもっと多くの人に受け入れられるに違いありません。

各地の百貨店やギャラリーでの展示・販売、公式HPでの通信販売など、フィリグリーの伝道は続きます。直近では3月19、20日ホテル日航姫路での山陽百貨店外商催事(一般入場可)、3月26日姫路市内ギャラリーでの催事(定員制)、4月新神戸セレクトショップ催事(会員制)などが決まっています。神戸でもきっとまた一般の方にご覧いただける機会があると思うので、Facebook(外部リンク)などで最新情報をチェックして、美しいフィリグリーとの再会を待ちましょう。

アン・シャーリーがかぶりそう…
アン・シャーリーがかぶりそう…

カジュアルな装いにも合いそう…
カジュアルな装いにも合いそう…

フリーランスMC/ライター/ワーママ(神戸市)

兵庫県神戸市で子育て中(0歳・2歳)のワーママ。フリーランスのウェディング司会者として活動しながら、カフェで隙間時間に執筆。趣味の茶道は、お抹茶といただく季節菓子が楽しみのひとつ。忙しい合間の息抜き時間を、有意義に楽しんでもらえるような地域情報を発信していきます。1984年明石市出身。

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