10月1日は日本酒の日。その当日と前後に行われるイベント「日本酒ゴーアラウンド」は、参加バッジをつけて参加店をめぐり、各店で担当する蔵元の日本酒を料理と共に楽しめるイベントです。今年は全国16都市で飲食店と蔵元がタッグを組み開催しました。普段は日本酒を飲まない私も、飲み歩きは大好きなので参加してみました。初参加です。

日本酒ゴーアラウンド神戸2022

常連さんも多いこのイベント。どの店に行っても既に順番待ちの列ができていました。でも、待っていると意外に回転が早くて、むしろ椅子に座って酔い覚ましができて良かった気もします。同じタイミングでお店に入った人が、私が一杯飲み終わる前に「ご馳走様です～」と出ていく様子や「何軒目ですか？」「9軒目です」というやりとりを聞いて、コンプリート目指して回られている方も多い事がうかがえました。ただし、どんな風に楽しむかはその人次第。私は1軒の店に比較的ゆっくり滞在して、お店の人や杜氏さんと喋ったり、2杯目や料理2品目も楽しんだりしながら過ごしました。

日本酒を扱う店の料理は美味しい

日本酒そのものも楽しみましたが、このイベントで最も印象的だったのは、どのお店も付け出し含めて料理がとっても美味しかったということ。付け出しのお代は、私が行った店は全て500円でしたが、いわゆる絶対払わなければいけない「チャージ」という感覚ではなく、一品頼んで出てきた料理という感じで「むしろお得かも」と思う店もありました。熱燗が似合う和食から、冷酒や白ワインにも合いそうな創作料理まで、ジャンルも様々でしたが、どれもお酒が進む料理ばかりでした。今度改めて訪れて、座ってゆっくり他の料理も楽しみたいなと思いました。

日本酒の新ジャンル「クラフトサケ」

私はこの日、大きな出会いをしました。それは「クラフトサケ」というジャンルです。クラフトビールは聞いたことがあるけれど「クラフトサケって？」と思いました。「日本酒とおばんざい　ぼでが」で秋田の「稲とアガベ」という蔵元のお酒について「実は正確には日本酒ではないのですが…」という話を聞かせていただきました。現在、日本の酒造業界は新規参入ができない状態で、それならばと、日本酒造りの過程で副原料を追加し、独自の香りや味を生み出した新しいジャンル、いわゆる第三の日本酒が若手醸造家たちによって生み出されたそうです。

サービスの1杯は「CRAFT　稲とアガベ03　亀の尾仕込み」というお酒でした。アガベとは、テキーラの原料にも使われるメキシコの多肉植物で、使われているアガベシロップは砂糖やはちみつよりも甘いのだそうです。「では甘いお酒なのかな？」と思いましたが、糖分は酵母に食べられてアルコールとなってしまうそうで、甘いということはありませんでした。でもとっても飲みやすく、日本酒というよりももっと何か別の飲み物のような感覚になりました。このように副原料となるものがそれぞれに入っていて、それが描かれたボトルは、シンプルでお洒落な洋酒のようなボトルです。

モッツァレラチーズなど、私が普段ワインと合わせるような料理に、クラフトサケはとてもよく合いました。もう少し飲みたくなり声をかけると、勧められるがままに3杯の飲み比べセットを頼み、それぞれに違った味わいを楽しむことができました。ただ、その中で「稲とホップ02　改良信香03　ササニシキ　火入れ」は、一口飲んでちょっと苦手かなと感じました。ところが、食べ飲み進めるうちにだんだんと味わいが変化して「あ、いける」と思い、結局完飲。細かいことはよくわかりませんが、日本酒が苦手でも美味しく飲めるお酒はあるし、一口だけでお酒の味の判断をするのは、せっかくの出会いに見てみぬふりをするようなものでもったいない、ということに気づきました。

日本酒を何倍も美味しくする飲み友達

日本酒に限ったことではありませんが、気の合う人と一緒に飲むというのは楽しいものです。一人で飲むことの良さもありますが、一人で飲みに出かけると、それはそれで、お店の人や、カウンターで隣同士、会話が生まれたりもします。そこで楽しい時間が過ごせれば、その時のお酒は美味しいし、楽しい思い出と一緒に味の記憶も同時にインプットされるものです。

なんとなく隣の方と喋り始め、2杯目を一口いただいて味比べをすることに。こんな時の燗は、徳利から御猪口にお酒を分け合うことができて便利です。熱燗は日本酒独特の香りや「いかにも日本酒」の味で好きにはなれないと思っていましたが、その先入観は覆りました。まろやかで飲みやすいものがいくつかあったのです。その秘密は水と器にあるとか。日本酒は「原酒」「無加水」などを除き、全て醸造の最後に（途中で混ぜる場合もあり）水を加えて完成するそうです。もちろん飲む前にも水を混ぜてもいいそうで、そうやって自分の飲みやすい飲み方を探せばいいんだとか。さらに、浅く広い器で飲む方がスピード調整しやすく、強すぎない香りで飲みやすいようです。初対面の「飲み友達」に色々と教えていただき、とっても勉強になりました。

「一杯いただいたのでどうぞこちらも一杯」と交わし合い、和やかでいい時間を共有させていただきました。徳利でのおすそ分けは、勧めやすいし勧められた側も受けやすいですね。「よかったら一緒にもう一軒！」と言いたいところでしたが、自分のキャパを考え、この日はここで最後にしておきました。

日本酒ゴーアラウンドに参加できなかった人も、HPに店舗や蔵元が紹介されていますので、ぜひ飲みに行ったり、購入して味わってみたりしてください。もちろん各店舗とも、普段は色んな蔵元のお酒を提供されています。そして私のような「あまり飲んだことないけれど日本酒は苦手」という方も、美味しく飲めるお酒と料理やお店があるはずなので、ぜひ探してみて欲しいと思います。そして、来年一緒に神戸で日本酒ゴーアラウンドしましょう！

店舗情報

情報元：日本酒ゴーアラウンド神戸HPより

関連リンク

• 日本酒ゴーアラウンド神戸（外部リンク）
• 稲とアガベ（外部リンク）
• 10月1日「日本酒の日」何軒まわれる？参加費500円で30蔵元のお酒をハシゴ酒！【神戸市中央区】（過去記事）