糖尿病患者は、周囲からの誤解に苦しんだり相談できる相手がおらず孤独に悩んだりする人も少なくありません。そんな人たちの心の支えとなるカフェが神戸で開店1周年を迎え、イベントが開催されることになりましたのでご紹介します。

IDDM Caffe 1周年記念イベント

8月24日から5日間の周年ウィークの中でも、28日（日）の記念イベントでは、音楽や落語などが予定されています。自身も1型糖尿病という出演者も多く、その中でも、お店の開店前から関わってきたという松村里美さん（焼酎亭福寿）にお話を伺いました。

落語で笑顔を届ける

松村里美さん（焼酎亭福寿）は、2020年10月に1型糖尿病を発症し、コロナ禍の入院で、面会はもちろん患者同士の交流会もなく、とても孤独で不安な半月を送られました。そんな時、SNSで同じ病気を持つ方と沢山繋がることができ、IDDM Caffe店主のアレンさんともその時に知り合われました。

同じ病気を持つ人と実際に会った初めての人がアレンさんで、開店準備のペンキ塗りなども手伝われたそうです。患者同士の交流が皆無だった時期に、直接話ができたことは本当に嬉しかったそうで、開店後、IDDM Caffeは松村さんにとっての癒しの場であり、同病の方との出会いの場にもなりました。

もともと関西小劇場で役者をしていた松村さんですが、コロナ禍で役者としての活動が限られてしまい、一人でも稽古ができる落語を始められました。1型糖尿病の発症はその直後で、退院後に稽古を再開し「少しでも皆さんに笑顔になってもらえるよう、今自分にできることをやろう」と前を向いて進まれています。

子どもたちの未来を明るく

スペシャルゲストとして出演される音楽家、吉田敬さんは、デザインと音楽の会社「株式会社サンナナ」を設立し、音楽を軸にマルチクリエイターとして幅広く活動。プロジェクションマッピング世界大会で4度入賞など、国内外で多彩な実績をお持ちです。

音楽家としては、2015年に山川浩正さん（元THE BOOMのベーシスト）と共にバンド「1−GATA」を結成。メンバー全員1型糖尿病患者で、吉田さんご自身も12歳から発症し、闘病を続け、近年は腎不全から透析治療もされています。1型糖尿病を正しく多くの方に理解してもらい「この病気の子ども達に”何にでも挑戦できるしミュージシャンにもなれる！”と希望をもってもらいたい」とライブ活動や講演をされてきました。今回の出演も、多くの子どもたちに希望を与えられるのではないでしょうか。

様々なジャンルの出演者が登場

その他にも、色んな方が入れ替わりながら出演されるとのことで、普段のIDDM Caffeとはまた違った楽しみ方ができそうです。

• 11:00　ビオラ演奏
• 12:00　溝端健太：想咲和太鼓打ち
• 13:00　松村里美（焼酎亭福寿）：落語
• 14:00　くっきー：ギター弾き語り
• 15:00　吉田敬：ピアノ演奏

ここまでの一年と次の一年への想い

店主のアレンさんは、2019年に1型糖尿病を発症。世間の誤解や血糖値マネジメントなどの苦労を抱え、頑張ることを休めない毎日を送っている人や、発症した子を持つご両親に、日常の延長線で気軽に仲間に会える場所を作りたいと、昨年8月に「IDDM Caffe」をオープンしました。

この一年を振り返って「あっという間」というよりも「内容が濃くとても長く感じた」そうです。それは、アレンさんが、訪れたひとりひとりと向き合えている証拠かもしれません。アレンさん自身も多くの人と出会い、地道なことを繰り返してこられました。テレビやラジオの取材依頼も入るようになり、少しずつお店の認知度も上がってきました。「遠方だけど行きたい」と他府県からのお客様も多いようです。

しかし「誰かの支えになっている」という実感がある一方で、経営面の課題は山積みで、これから1年、また1年と気持ちよく年月を重ねてより多くの人のオアシスとなれるよう、その課題にも向き合う必要があります。

新しい次の1年の幕開けに、周年ウィークと記念イベントで「開店1周年を迎えることができた喜びを皆でお祝いしたい」というアレンさん。いつも以上に笑顔あふれる1週間になりそうです。もちろん、病気の有無に関わらず、どなたでも歓迎とのこと。皆さんも一度足を運んでみませんか。

イベント情報

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